絶対防御研究所 Log2

テトとルークの侵入から2週間ほどたったある日・・・



「今のところ、特に以上はないな、検査は終了だ、ほれ、行っていいぞー」
そう言ってホムラは義足のメンテナンスに研究所を訪れていた小さな少女を笑顔で送り出した



「お疲れ様ー、はい、ホムラの好きな強炭酸ジュース」

ミコトがホムラの後ろからやけに大きな某有名炭酸ジュースのメーカー名が入ったコップに黄色いスパークリングなジュースを入れて渡した

飲もうとすると・・・



ドゴンッ!

突然の横揺れとそれに続いてシステムの「WARNING!WARNING!何かがこの研究所に衝突しました!破損箇所の自動修復を開始します!」というアナウンスが流れた

アマツ達に命令するより前に、コードMet-Lete、通称「滅音リト」が何かを連れてきていた

「マスター、衝突したと思われる場所にこの子が居た、恐らく体躯からして、特殊な一族の者と思われる」

ふむ、とりあえず柔らかくて温かい場所にでも寝かせておけ、とホムラがリトに言う

了解、とリトがつぶやき、客間の方へ運び込んだ

「じゃ、私はまた下層エリアのメンテナンス兼見回りに行くわ」
ああ、そうしてくれ、とホムラがリトに言った



「今の子・・・もしかして音飛女の所の子か?・・・とりあえず“彼”に連絡を入れておくか」

どんな状態で衝突したのかは定かでは無いが、恐らく誰かにじゃれついて思いっきり投げ飛ばされでもしたのだろうか
もっとも、じゃれついた「誰か」ってのは予想がつくが・・・まぁ、そこはよしとして・・・

ホムラの頭に色々な思考が巡るが、とりあえずはひとつに絞り、例の「彼」に連絡を入れた

数分後、案の定怒った状態の彼がやってきた、あの子の保護者的な存在の「音飛彦ユヒト」である



「ったくもー!クユのやろー面倒なことばっかり起こしやがる・・・少しは世間を・・・」

途中まで言ったところでミコトが止める

「今はあの子、気絶してたけど、今はよく眠ってるわ、起こすのは今後のことも考えて良くない、だから静かに連れ帰ってあげてね?」

いきなり唇に指を当てられ、お・・おぅ・・・と少したじろいだ

「多分テトに飛びついて投げられでもしたんだろうな・・・」
ユヒトが呟く

「まぁ、この研究所は頑丈さと堅牢さがウリの施設だ、クユの本気の激突でもそうたいした事はない」
ホムラが言う、衝撃は通すが、損傷しにくい特殊な材質で出来ている為、よっぽどの破壊力を持ったものでない限り壊すことはできない
それに加え、対生物には何ら干渉しないが、攻撃性の物体を察知するとオート作動するエネルギーシールドシステムがある為、絶対防御の名にふわさしい物となった

「よくもまあそんな素材やシステムを組み立てれたもんだ・・・」
ユヒトが呆れ顔で言った

「単純なこと、物質構成の元素には必ず弱点がある、そこを別の元素で補ってやれば、十分に強い素材になるんd」

途中でミコトが静止する

「すぐ難しい話に持っていく、悪い癖よ?ユヒトさんの目が点になってる!」

すまん、とホムラが言った
「ユヒト君、夜も遅いし、クユちゃんを連れて帰るのは大変そうだし、今夜は此処に泊まっていくかい?なーに、取ってくおうってわけじゃないさ」

「ではお言葉に甘えようかな」



こうしてまた、夜が更けていく・・・



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